本日の1冊 『その日彼は死なずにすむか?』 [ライトノベル]
八戸鋼一(やと・こういち)は死ぬ。
学校帰りに立ち寄った薬局で買った薬の箱に仕込まれていた爆弾が爆発して、病院に運び込まれたものの手の施しようがなく、何もいいことがない17年の人生に別れを告げる………はずだった。
しかし、彼の魂が死後の世界に最も近い場所に差しかかったとき、彼を誘う声が聞こえた。
- きみは選ばれた!
きみには<ゲーム>をしてもらう!
7年前に戻って人生をやり直すんだ!
7年間ですべての“奇跡の欠片”をサルベージできればきみは助かる!
かくして、八戸鋼一の2度目の人生が始まる。
第3回ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作、小木君人さんの 『その日彼は死なずにすむか?』 です。
面白かったです。
1つ前の記事に引き続きとっても月並みな言葉ですが、これもホントに素直な感想です。
10歳からの7年間をやり直すことになった人見知りで引っ込み思案な鋼一が、前の人生ではとても叶わなかったことに勇気を振り絞ってぶつかって行く姿を見ていると、こちらの心までそれに引きずられるように、優しくそして強くなってゆくような気がします。
やり直しの人生で鋼一が大きく関わった3人の少女が彼に心を開き惹かれて行ったのは、彼の持つ本当の強さを認め、魅せられたからなのでしょうね。
そして、それがしっかりと読み手の心に届くということは、書き上げた著者の力量があってこそです。
ちょっと甘いかなと思える部分もほんの少しあるにはありますが、このバランスの取れた構成と分かりやすくけれんみのない文章は、これがデビュー作なのかと驚くほどの完成度を見せていると思います。
ホント、先が楽しみな作家さんが現れました。
はたして次はどんな物語を読ませてくれるのでしょうか。
次回作にも期待しています!
イラスト担当 植田 亮さんのWS:Fancy Fantasia
コメント 0