本日の1冊 『断章のグリムXIII しあわせな王子・下』 [ライトノベル]
人でなくなった女と
女を刻み続ける悪夢に苛まれた男
人でなくなった少女と
少女を守らんとする悪夢に憑かれた少年
沸き溢れる王子の慈愛
罪の意識から逃れられず疲弊するツバメ
はたして彼らは何になりたかったのだろうか…
白い影のように
蒼衣の心に住み続ける少女が笑う
その笑顔が崩れ落ちたとき
蒼衣の心は罅割れ
すべては
消えてしまった…
甲田学人さんの 『断章のグリムXIII しあわせな王子・下』 です。
う~ん、すっきりしない。
この物語は、そもそもどのお話もすっきりした終わり方などしたことはないのですけれど(^^;、今回はこれまでになくもやもやしたものが胸に残りました。
蒼衣に感情移入しすぎたこともあると思いますけれど、それよりもたぶん、葬儀屋たちが“何にもなりたくない”と心底思っていたことが理解できないからなのだと思います。
何にもなりたくなくて消えてしまうということは、自分以外の何かだけじゃなく、自分自身であり続けたくもなかったってことですよね?
それじゃ、そもそも生きていけないじゃん。。。
少なくともpochiは、自分がいるからこそ世界は存在するという極論を掲げて生きている人間なので、その考え方を理解することなどできないのです。
って、それくらい思わないと、この世知辛い世の中を渡りきることなどできませんよ。
マジで。
と、変な方向に話が行っちゃいましたけれど、今回、蒼衣に突きつけられた葬儀屋たちの消失という現実(?)が、彼の心に大きな変化をもたらしたということは確かなようです。
甲田さんのあとがきによると、この物語にも区切りが近づいているようですし、蒼衣がこの先<騎士>としてどのような決断をして行くのか、もう少し見守っていたいと思います。
イラスト担当 三日月かけるさんのWS:MIDORIYASIKITEN
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