本日の1冊 『放課後の魔術師 1 オーバーライト・ラヴ』 [ライトノベル]
放課後の魔術師 (1)オーバーライト・ラヴ (角川スニーカー文庫 208-1)
- 作者: 土屋 つかさ
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: 文庫
仲の良いふたりの姉妹がいる
あるとき姉妹の両親が事故でこの世を去り
ふたりはともに深く傷つき世界との関わりを絶った
姉は彼女のもとを訪れる親友たちに支えられ
徐々に心を開いていった
しかし妹は心を閉ざしたまま
最愛の姉にさえその姿を見せようとしなかった
2年後、姉は親友たちとともに笑顔で学園生活を送り
妹は自室に閉じこもり姉との会話も携帯電話を介する生活を送っている
けれど、ふたりの間に隔たりはない
なぜなら―
―互いを慈しむ心は何も変わらないのだから―
論理式を構築して魔術を行使する、いにしえの名を持つ者たちの物語。
土屋つかささんの 『放課後の魔術師 1 オーバーライト・ラヴ』 です。
一言、面白い!
主役のふたり、播機遙と秋津安芸の両方の視点でシームレスに紡がれていく一人称の文章は実に軽妙です。
ほんの一部、他者の視点が混じるものの、基本的にふたりの言葉で交互に語られていくのですが、決して読み手の思考を止めることも混乱させることもなく、ほどよい速度で読み進めることができます。
そしてそれを助けているのが、物語世界の根幹を成している論理魔術の判りやすさ。
魔術師によって詠唱される論理式は意思決定のプロセスが明確で、コンピュータのシステムのようにまさに構築と言う言葉がぴったりです。
魔術を行使するために論理式に代入される値が少~し安易かな?ってところもありますが、結局それが、物語がスピード感を損なわずに上手く流れている所以なのでしょうね。
文章のことばかり書いていますが、もちろん物語の土台となる世界の成り立ちやキャラ立てもしっかりしています。
個性的なキャラの中でわたくし的に注目したいのが、安芸の論理魔術により構築された兵器≪人形(ドール)≫の香音です。
ふゆの春秋さんが描くカラー口絵から気になっていましたが、安芸を諭しているときに見せるような平常時の人間っぽさと、戦闘時のマシーン然とした振る舞いのギャップが実にいい感じで、読み終えたときには完璧にFanになってましたね。
次巻以降もガンガン活躍して欲しいです。
主役を食ってもOK!
私が許します!
さて、最初から最後まできっちり楽しませてくれたこの作品、もちろん次巻の予定もあるようです。
次はどんな風に楽しませてくれるのでしょうか。
いつもの言葉で恐縮ですが、またひとり気になる作家さんが増えましたね。
土屋つかささんのblog:土屋つかさの今か無しか
http://someiyoshino.at.webry.info/
イラスト担当 ふゆの春秋さんのWS:ふゆの春秋's テクノフユノ
http://www.technofuyuno.squares.net/
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