本日の1冊 『レンタル・フルムーン 第一訓 恋愛は読みものです』

レンタル・フルムーン〈第1訓〉恋愛は読みものです (電撃文庫)

• 作者: 瀬那 和章
• 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
• 発売日: 2009/06/10
• メディア: 文庫

小学生の時に起きたあることがきっかけで、白い霧を伴った不思議なものが視えてしまう高校生・“桐島新太”と、裏通りでひっそりと営業している古びた貸本屋・満月堂の店主にして＜観測者＞の“満月（みちつき）ツクモ”の物語。
瀬那和章さんの 『レンタル・フルムーン 第一訓 恋愛は読みものです』 です。

前作『under』で人の心に潜む闇と悲しさを＜異界＞というフィルターを通してまざまざと見せ付けてくれた瀬那さんが、はたしてどんなラブコメを読ませてくれるのかと、とても楽しみにしていました。

で、実際に読んでみての感想は、

これ、面白いじゃん！

です！

このお話、基盤となる世界が＜神々の実験＞や＜天地創造＞、＜平行世界＞、そして＜世界の終焉＞といった結構壮大で深刻なテーマの上に成り立っているにも関わらず、ちょっと痛くて残念な人たちの所業がそれらをオブラートのように包みこみ、きっちりとお気楽なラブコメに仕上がっています。

「そこまでやるか！？」ってくらい渾身の力を込めて丁寧に描かれたキャラたちの残念振り（？）を読んでいると、とにかく読者を楽しませようと一所懸命に取り組んでいる瀬那さんの真摯な姿勢が、しっかりと伝わってきますね。

ちなみに、キャラの中でpochiの一押しは、図書委員の“藤崎芳乃”さん。
普段の冷静かつ冷徹な優等生的態度と、＜天使代行＞“フジエル”として登場したときのギャップがなんとも……。

そしてもう一人、神の使わした＜聖獣＞にしてツクモのアシスタントのオコジョ少女・“クルン”。
ツクモのために健気に働くクルンの姿を見ていると、もうかわゆくてかわゆくて、今すぐギュッてしたくなっちゃいます。

本書のサブタイトルが“第一訓”ということは、続きがあるってことですよね。
はたして次はどんな残念なキャラが活躍するんでしょうか。

『under』ともども、続きが楽しみです！




イラスト担当 すまき俊悟さんのWS：Carbon Base

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