本日の1冊 『氷結鏡界のエデン 楽園幻想』 [ライトノベル]
少年は還ってきた
身も心も傷つき
まるで生ける屍のような惨状になりながら
それでも這い上がってきた
たったひとつの想いを胸に
少女との約束を果たすために
異形の族が蠢く奈落の底、“穢歌の庭<エデン>”から
皇姫と巫女の祈りに護られた天上の世界、“浮遊大陸オービエ・クレア”へと
呪われたその身体に
あの歌を携えて…
- あの日、
世界の終わりの場所で―
たしかに僕は、穢歌の庭に流れる歌声を聴いていた。
細音 啓さんの 『氷結鏡界のエデン 楽園幻想』 です。
面白かったです。
面白かったのですけれど、う~ん、ちょっと肩透かしを喰らわされた感じです。
物語は、高度1万メートルを隔てた相容れない2つの世界、“浮遊大陸オービエ・クレア”と“穢歌の庭<エデン>”を舞台にしたファンタジー。
その世界観はとても判りやすく、しかもこれから明かされてゆくであろう謎や伏線もきちんと用意されていて、今後の展開にも十分期待できる作品だとは思います。
けれど、細部を見ていくと、進行に若干ご都合主義的なところが見受けられたり、本来あるべき物語世界のスケールが矮小に感じられたりと、残念な部分が印象に残ってしまいました。
ただ、それでもやっぱり「面白かった」と思いますし、続きが楽しみな作品なのは確かです。
結局、細音さんの前作 『黄昏色の詠使い』 の完成度が高かったので、ちょっとした違和感にも過剰反応してしまっているだけなのかもしれませんね。
いずれにしても、物語は始まったばかり。
次巻を読めばこの違和感は解消されるかな?
期待しています!
細音 啓さんのWS:細やかな音の部屋
イラスト担当 カスカベアキラさんのWS:カエル有人飛行
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