本日の1冊 『アカイロ/ロマンス 6 舞いて散れ、宵の枯葉』 [ライトノベル]
あの雪の日、少年と交わした約束
幼い心に芽生えた恋慕の情
少女の内側を満たしてゆくのは喜びと希望
けれど、いつの頃からか少女は孤独と絶望に苛まれ
少女の内に灯った想いの炎は
少女のたったひとつの願いとなり
少女のすべてとなる
純粋で歪んだ情念は
ほんのりと淡い桜色から
やがて禍々しくも鮮やかな朱となり
触れるものすべてを紅く染めてゆく
さながらそれこそが少年のもとへと歩みゆくための赤絨毯であるかのように…
藤原 祐さんの『アカイロ/ロマンス』シリーズ最終巻、『アカイロ/ロマンス 6 舞いて散れ、宵の枯葉』 です。
今巻を読み始めて改めて感じたのは、灰原吉乃の強さと美しさです。
生前に抱いていた景介への想いの深さと純粋さは、枯葉の身体となってもなお変わることはなく、むしろ枯葉の想いをも包みこみ、想い人を支えてゆくのです。
それに触れたとき、こみ上げるものを抑えることができませんでした。
なので、実は当初この記事の冒頭の文章は、吉乃のことを書く予定だったのです。
けれど、最後まで読み終えて気持ちが変わってしまいました。
きっかけは、景介の姉・雅であった「くさりめ」、棺奈でした。
木春の散り際に見せた棺奈の振る舞いに、ふたりの絆の強さが、そして木春の想いが胸に響いてきたのです。
成就することのなかった恋。
けれど、もしも神楽が叛乱を起していなければ、もしも木春が病を患っていなければ、もしも…、もしも…。
詮無いことと判っているのですが、そんなことを考えながら、冒頭の文章を書き上げたわけです。
実のところ、ホントはもっと木春の感情に踏み込んだものだったのですけれど、書いてゆくうちに止め処がなくなってしまって、最終的にグッと押さえ込んだものにしちゃいました。
これでなにかが伝われば嬉しいのですが…。
『アカイロ/ロマンス』 特設頁
藤原 祐さんのWS:埋没式フラクタル
椋本夏夜さんのWS:椋本工房
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