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本日の1冊 『ストレイジ・オーバー』 [ライトノベル]


ストレイジ・オーバー (GA文庫 な 3-1)

ストレイジ・オーバー (GA文庫 な 3-1)

  • 作者: 中尾 寛
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2008/04/15
  • メディア: 文庫


07時43分06秒
少女の1日はこの時刻に始まる


少女は戸惑う
そこは少女の知っている世界とは何かが違っている

少し大人びた兄の姿
見知らぬ我が家
窓の外に広がる景色
移り変わっている季節

やがて少女は知る
時の流れに一人取り残されていることを


23時02分30秒
少女は眠りにつく

今日1日のことを、文字通りすべて忘れて・・・


少女は翌朝も目覚め、同じ1日を繰り返す
少女にとって昨日と何も変わらないはずの8月29日を

 
 
 
中尾 寛さんの 『ストレイジ・オーバー』 です。

他者の記憶にアクセスし操作することを生業とする“記憶使い”のいる世界。
“砂町 亘”は、記憶が更新されずに同じ1日を繰り返す妹のために記憶使いになることを選択する。

これは、亘が記憶使いとして様々な人々と関わり垣間見る心の内側を、彼の目を通して描きだす物語です。


亘の感情を押し殺した淡々とした独白のような語りは、まるで彼の声が聴こえて来るようです。
それは決して耳障りではなく、落ち着いた言葉の一つ一つが、じんわりと沁み込んできます。
これが不思議と心地よくて、淀みなくページを捲るうちに、気がついたらラストシーンに辿り着いてました。

田倉トヲルさんの控えめでいて存在感のあるイラストも作品をグッと引き締めています。
特に“工藤”の雰囲気はこれ以外にないと思えるくらいにしっくりきますね。
これはなかなかいい感じ。


中尾さん、2004年のデビューから初めての本(この作品です)までちょっと間が空いてます。
その間は修行とか充電とか、そんな期間だったのでしょうか。
でも、その結果がこの作品なら、十分納得できますし、読み手としてはむしろ歓迎すべきことでしょう。


この作品、そう遠くない時期に続きが読めそうです。
再び、記憶と心に残る物語に出会えることを期待してます。



イラスト担当 田倉トヲルさんのWS:酩酊ラヂオ
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