本日の1冊 『ラプンツェルの翼』 [ライトノベル]
それはいつの頃からだろうか
少年は心をどこかに置き忘れてしまっていた
少年の内側は灰色の靄に包まれ、痛いほど凍てつき、近づくすべてのものを拒絶していた
そして、そのことに、誰よりも彼自身が気付いていなかった
あるとき少年のもとへ少女がやって来た
少年は少女の存在を疎ましく想いながらも彼女と行動を共にし、協調と反目を繰り返してゆく中で、彼女を理解しようとしてゆく
そしてそれは、なによりも彼自身が、自らを見つめることにほかならなかった
少女の存在は少年の世界に再び彩と温もりを取り戻し始めていた
少年は少女と共に歩んでゆく
たとえ、少女が少年に死をもたらすものであったとしても
それは些細なことなのだろう
イラスト担当 植田 亮さんのWS:Fancy Fantasia
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