本日の2冊 『偽物語(上)』『偽物語(下)』 [ライトノベル]
高校生・阿良々木暦が怪異と行き交う『化物語』の後日譚、西尾維新さんの『偽物語』です。
この作品で怪異と関わりを持つのは、阿良々木くんの二人の妹、“火憐”と“月火”。
つまり、いよいよ、満を持して、“栂の木二中のファイヤーシスターズ”の登場です!
物語のサブタイトルは、『―(上)』が「かれんビー」、そして『―(下)』が「つきひフェニックス」。
それぞれ、『化物語』の第6話と第7話という位置づけになっていて、サブタイトルからもお判りのように、蜂と不死鳥が関わっています。
実のところ、上の文章で怪異と「行き交う」とか「憑かれる」ではなくて、「関わる」と表現しているのには訳があります。
けれど、その訳を書いてしまうとネタバレ必至ですので、そこは読んでからのお楽しみということで、割愛させていただきます。
さて、中身のお話です。
まずは「かれんビー」から。
- 繰り返しになりますが、火憐が蜂と関わる物語であり、「正義」とは「本物」とはなんだ?という物語。
同時に、兄妹愛の物語であり、阿良々木ハーレムの健在ぶりをアピールする物語。
さらに言うと、戦場ヶ原の阿良々木くんに対する愛情の深さを思い知らされる物語であり、そして、その戦場ヶ原が過去と決別する物語。
「つきひフェニックス」はというと。
- 不死身の怪鳥の物語であり、月火の物語。
同時に、家族愛の物語であり、兄妹の絆の物語。
さらに言うと、忍野メメの過去を知る物語であり、そして、やはり「正義」とは「本物」とは?という物語。
という感じなのですが、この作品、一つ重要な出来事があります。
それは、戦場ヶ原がリセットしたということ。
「つきひ―」で阿良々木くんの口から語られた戦場ヶ原は、長かった髪をショートに揃え、朗らかに笑う、普通の女の子になっていました。
きっかけは「かれん―」のエピソードですが、そのあたりはやはり割愛させていただきます。
いずれにしても、あの戦場ヶ原から毒気が抜けてしまうなんて、想像だにしなかった出来事です。
彼女のファンの人たちは、これをどのように受け止めているんでしょうね。
そして、pochiにとってはさらに重要な、ってか嬉しいことが一つ。
それは、忍が葛藤と逡巡と絶望という地獄に折り合いをつけ、姿を現したということ。
忍野の代わりに怪異について語らせられたり、多少便利に使われているような気もしないでもないのですけれど、それでも彼女のファンとしては、ホント、嬉しいかぎりです。
あえて欲を言わせてもらうなら、もっと縦横無尽に大暴れして欲しかったのですけれど、ま、そこはそれ、そういうお話ではないので、仕方ないのですけれどね。
そんなこんなの(?)この作品、西尾さんが「つきひ―」のあとがきで、「『化物語』を読んでいなければ成立しない小説なのかと言えば、案外そんなこともなかったりする」と書かれてますが、それはきっと間違いです。
たしかに読めないことはないとは思いますが、『化物語』『傷物語』を読んでいなければ、面白さ10分の1、いや100分の1くらいなんじゃないでしょうか。
なので、この作品をこれから読んでみようという人で、『化物語』『傷物語』をまだ読んでいない人は、まずはそちらからお読みください。
そうすればこの作品、面白さ100倍です!(当社比?)
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