本日の1冊 『夜魔 -奇-』 [ライトノベル]
甲田学人さんが、かつて6編の作品を収めて出版された『Missing』番外編、単行本『夜魔』。
そのうちから『罪科釣人奇譚』、『薄刃奇譚』、『魂蟲奇譚』、『現魔女奇譚』の4編を再録し、描き下ろしの『桜下奇譚』を加えて文庫化された短編集、『夜魔 -奇-』 です。
面白かったです!
やっぱ、甲田さんが描き出す、人の恐怖心を鷲掴みにしたような物語は美味しいですね!
実のところ、pochiは単行本『夜魔』も、その本編『Missing』も読んだことがありません。
甲田さんの作品で読んでいるのは『断章のグリム』のみでした。
なので、この短編集はまるっきりのお初ですが、『断章-』とはまた一味違う面白さがありますね。
なんというか、こう、人の心の内側に横たわる得体の知れない何かに干渉してくるようなというか、人が本来持っている負の一面が沸々と沸き立ちながらジワジワと染み出してくるようなというか、そんなえも言われぬ恐怖に打ち震わされるような文章が実に心地良いのですよ。
収録されている作品の中では、描き下ろしの『桜下奇譚』が好きです。
題材は「桜の下には死体が埋まっている」というものですが、染井吉野の情念を、決して恐怖だけではなくて、悲哀をも絡めて綴られた物語に、しっかりと引きずり込まれちゃいました。
今回単行本から収録されなかった残りの2編、『繕異奇譚』と『魄線奇譚』は、やはり描き下ろし1編を加えて、MW文庫『夜魔 -怪-』として1/25に発売されます。
もちろん、そちらも読む予定です。
きっとまた、美味しい物語が味わえるのでしょうね。
イラスト担当 三日月かけるさんのWS:MIDORIYASIKITEN
2010-01-11 19:35
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