本日の1冊 『猫物語(白)』 [ライトノベル]
委員長の中の委員長、羽川 翼が、自らの言葉をもって綴るシリーズ最新作。
西尾維新さんの 『猫物語(白)』 です。
これは、これまでで最も恐ろしい作品かもしれません。
いかにも羽川らしい平坦で冷静な語りは、家庭事情を含む自らのことであってもそれは変わらず、ともすれば何気ない至極普通のことのように状況を描いています。
しかし、これをたとえば阿良々木君の視点に置き換えたとすれば、それは必ずしも普通のこととは言えない、場合によっては異常とさえ言っていい状況が如実になるでしょう。
けれど、だからと言って、それが羽川が怪異を生み出したことを容認する、これまでのことをチャラにする理由になどなるのでしょうか。
この作品も、決してそれを良しとしている訳ではなく、羽川も覚悟を決めていると思いますけれど、結局彼女自身がトリガーを握っている限り、その脅威になんら変わりはない、いや、むしろ危険度が増したと言っても良いのではないでしょうか。
とは言え、今回の事件が羽川の意識を大きく変えたのは確かですし、あとは彼女がどこまで耐えられるのかを見守るしかないのですけれど…。
ともあれ、猫物語は一応の決着を見ました。
この先は、この作品のバックグラウンドで阿良々木君が体験したであろう怪異譚がどんな事柄であったのかが語られることになります。
次に来るのは、八九寺真宵再び、『傾物語』「まよいキョンシー」。
阿良々木君と八九寺の身に何があったのかが気になりつつも、それにも増して、彼らの絶妙な掛け合いが実に楽しみな作品です。
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2010-11-04 08:33
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