本日の1冊 『逆理の魔女』 [ライトノベル]
その右眼にあらゆる理を屈服させる幻想を宿した魔女・“逆月雨坏”と、普通の人には視えない奇怪を映す右眼を持つ“冥月空白”の出逢いから始まる物語。
雪野 静さんの 『逆理の魔女』 です。
第8回スーパーダッシュ小説新人賞佳作受賞作ということで、「どれどれ、どんな感じかな?」と手にしてみたのですけれど、期待に違わずなかなかいい感じでした。
個性的かつ魅力的なキャラをスピード感を持って、けれど決して突っ走らずに動かしていく文章が、読み手をほど良く引っ張っていく感じで心地良かったです。
これはこの先が楽しみな作家さんがデビューされたものだと嬉しくなりました。
ただ、もちろんデビュー作ってこともあるのでしょうけれど、惜しいところが見受けられたのも事実です。
設定や描写の整合性など、些細なところはさておき、あのクライマックスが実に惜しい!
なんというか、軽くて薄い感じ?
なんか、それまでの雰囲気がちょっと変わっちゃった印象でした。
もっとも、あそこをもっとドラマチックにしようとすると、もっと全体的に伏線を散りばめることも必要でしょうし、結果として物語の軽妙な雰囲気が損なわれることにもなりそうですので、なんとも難しいところだとは思いますけれど…。
いずれにしても、これがお勧めの1冊なのは確かです。
期待の新人作家デビュー作、よろしかったらお手にとってくださいまし!
イラスト担当 石川沙絵さんのWS:MUGU
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